対応している症状・疾患
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎は、良くなったり悪くなったりをくり返すかゆみを主症状とする慢性疾患です。アトピーの皮膚ではIL-4、IL-13、IL-31などのサイトカインという物質が表皮内で炎症やかゆみを起こします。皮膚のバリア機能が低下しているところに、ダニ、カビ、ホコリや化学物質(化粧品、金属、消毒薬)などのアレルゲンが侵入して「皮膚の炎症」が起こり、かゆみを引き起こし、痒くなった皮膚を搔くことでさらに皮膚のバリア機能が低下し、「皮膚の炎症」が悪くなるという悪循環を起こします。悪化サイクル
※鳥居薬品株式会社HPより引用
※日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎ガイドラインより引用
デュピクセントがブロックする箇所
※サノフィ株式会社HPより引用
ミチーガ
※マルホ株式会社HPより引用
アトピー性皮膚炎の検査
・血清IgE値 アレルギー素因を表す。アトピー患者は500IU/ml以上になることが多いアトピー性皮膚炎の治療
症状を繰り返しているうちは一見良くなったように見えても隠れ炎症が続いています。症状がほとんどないか、あっても軽度で日常生活に支障がない状態を維持するのが治療の目標です。【内服薬】
抗ヒスタミン薬、漢方薬、JAK阻害剤、免疫抑制剤
※当院では内服のJAK阻害剤、免疫抑制剤は現時点では採用していません
【注射薬】
生物学的製剤:デュピルマブ(デュピクセント)、ネモリズマブ(ミチーガ)
アトピー性皮膚炎の新しい治療薬 生物学的製剤
アトピー性皮膚炎の炎症にかかわっているサイトカインをブロックすることでアトピー性皮膚炎を改善します。生物学的製剤は細胞表面にあるサイトカイン受容体に働きかけます。JAK阻害薬は免疫をつかさどる細胞の中にある「JAK」(ジャック)という部分に結合して、かゆみの原因となる炎症性サイトカインが過剰につくられることを防ぎます。デュピクセント、ミチーガの薬剤費と医療費助成について
デュピクセント、ミチーガとも保険適用ですが薬剤が高額になります。じんましん
皮膚の一部が赤く盛り上がり(膨疹)、数時間~1日以内で消えてしまう皮膚の病気です。必要に応じて悪化因子を調べるアレルギー検査を行います。治療
原因や悪化因子がわかれば、それらを取り除くようにします。症状が落ち着くまで抗ヒスタミン薬または抗ヒスタミン作用のある抗アレルギー薬の内服をします。ニキビの治療
≪1.毛穴のつまりを取り除く≫
・アダパレン(ディフェリン、エピデュオゲル)
・過酸化ベンゾイル(ベピオゲル、デュアックゲル、エピデュオゲル)
≪2.炎症や皮脂のコントロール≫
・抗生剤、過酸化ベンゾイル(ベピオゲル、デュアックゲル、エピデュオゲル)
・ビタミンB群:皮脂のコントロール
・漢方薬:十味敗毒湯、清上防風湯、荊芥連翹湯、排膿散及湯など。
≪3.ホルモンバランスを整える≫
漢方薬
●生理前後に悪化するニキビ:桂枝茯苓丸、桂枝茯苓丸加薏苡仁、加味逍遙散、当帰芍薬散、十味敗毒湯(桜皮配合)
●思春期ニキビ、皮脂が多い場合:抗アンドロゲン作用がある芍薬甘草湯
乾癬
銀白色の鱗屑(皮膚の粉)がついた盛り上がった紅斑が、頭、肘・膝、臀部、下腿などの機械的刺激をうけやすい部分に出ます。遺伝的な体質に、不規則な生活や食事、ストレス、肥満、感染症、などの因子が加わって発症します。乾癬の方はメタボリック症候群になり易いといわれています。必要に応じて、コレステロール値や血糖値などの検査を行います。治療
ステロイド外用薬、ビタミンD3外用薬、紫外線療法、経口PDE4阻害剤掌蹠膿疱症
手足に水疱や膿疱が見られます。扁桃腺や歯、鼻などの細菌による慢性炎症による発症(病巣感染)、金属アレルギーや喫煙が関与しているケースがあります。金属アレルギーが疑われる場合には金属アレルギー検査(パッチテスト)、甲状腺疾患や糖尿病などを合併することがあるので、必要に応じて血液検査をします。治療
ステロイド外用薬、ビタミンD3外用薬、紫外線療法。酒さ
赤ら顔ともいわれ、鼻や頬、額に赤みやニキビのようなものが出ます。30代~50代で発症しやすく男性よりも女性に多い傾向があります。ストレス、飲酒や糖質の摂りすぎ、過度の保湿、紫外線などで悪化します。治療
ロゼックスゲル(メトロニダゾール)、漢方薬、ビタミン剤など。水虫
白癬菌というカビが皮膚に感染することで起こります。症状は、足白癬では足の皮むけ・水疱・かかとのガサガサ、爪白癬では爪が白~黄色く濁るのが特徴です。必ずしもかゆいとは限りません。治療
抗真菌剤の外用。爪白癬で難治性の場合は抗真菌薬の内服をします。治療(保険適応)
●外用薬帯状疱疹
子供の頃に感染した水疱瘡のウイルスは体内の神経節に残っています。水疱瘡感染後に加齢や疲労・ストレスなどで免疫力が落ちた際に帯状疱疹として発症します。頭、顔、体のどの部位にでも発症します。症状は体のどちらか片側に痛みを伴う水疱として現れます。治療
●抗ウイルス薬の内服、痛みに対して鎮痛剤の内服
帯状疱疹の後遺症 帯状疱疹後神経痛
●帯状疱疹の皮膚症状が治ったあとに帯状疱疹後神経痛(痛み)が続く場合があります。
帯状疱疹になった場合は早期に抗ウイルス薬による治療を開始すること、痛みは我慢せずに鎮痛剤を使ってしっかり痛みをコントロールすることが重要です。
鎮痛剤を使わず痛みを我慢すると神経痛が長引きやすくなります。
帯状疱疹の予防
●帯状疱疹は免疫力が低下している時に発症しやすいことが分っています。日頃から栄養のバランスの取れた食事、適度な運動、充分な睡眠をとり、リラックスする時間を取り、ストレスの解消を心がけましょう。
また帯状疱疹はワクチンで予防することができます。ワクチンには生ワクチンと不活化ワクチンの2種類があります。
(いずれも任意接種)。帯状疱疹ワクチンをご希望の方は診察の際にご相談ください。