アトピー性皮膚炎の治療はステロイド外用や抗アレルギー剤の内服が一般的によく行われています。

最近注目されている治療にデュピクセントという注射の治療があります。

2018年にアトピー性皮膚炎の新薬として発売された生物学的製剤です。

ちょっと難しい話になりますが、アトピー性皮膚炎では、皮膚でこの図のような反応が起きています。

アレルギー反応に関係している免疫細胞のTh2細胞という細胞があります。

この細胞からIL4、IL 13という2つのサイトカインが産生されており、これが皮膚のかゆみを起こしたりバリア機能を低下させたりして皮膚に炎症が起こる悪循環の元になります

デュピクセントはアトピーの原因となるIL 4とIL 13を抑えることで痒みや皮膚症状を改善します。

デュピクセントは塗り薬や飲み薬ではなく注射薬です。

治療開始時には2本注射を打ちます。

その後2週間に1階のペースで1本を注射します。

皮下注射でお腹や太ももなどに注射します。

最初の1ヵ月間は病院で注射しますが、それ以降はご自宅で自己注射することができます。

この治療のメリットは従来のステロイド外用や抗アレルギー薬の内服で十分にコントロールできなかったアトピーが、2週間に1回の注射薬でコントロールできるようになる可能性があります。

アトピー性皮膚炎の症状が全身に及ぶと毎日全身にステロイドをしっかり塗ること自体がかなり大変です。

また中等症から重度の皮膚症状が広範囲になると、ステロイドやタクロリムスの外用だけではなかなかコントロールできないケースが多いです。

従来の治療で寛解状態にするのが難しかった場合でも、デュピクセントで良い状態に持っていける可能性があります。

治療期間の目安は半年から1年と長期になります。

またデュピクセントは対症療法なので、治療をやめると悪化する可能性がないわけではありません。

治療費などについては、下記リンクをご参照ください。

デュピクセントの薬剤費と医療費助成制度について

保険適用ですが薬剤費が高いため、自己負担額も大きくなります。

収入によっては高額医療費の補助の対象となりますので、詳しくは受診の際にご相談ください。

対症療法ではありますが、長期間皮膚に炎症が起きていること自体が肌にも体にも良いことではありません。

体のどこかしらに慢性炎症があると、全身にもよくない影響が出てきます。

ステロイド外用なり、デュピクセントなりを使って皮膚に一旦炎症がない状態にすることも治療上はやはり必要になってきます。

従来の治療でなかなか改善しなかったアトピー性皮膚炎の方は治療の選択肢の一つとして検討してみてはいかがでしょうか?

アトピー性皮膚炎でお悩みの方はご相談下さいね。