

🌹アトピー性皮膚炎の新しい治療薬「イブグリース」
🔸イブグリースってどんなお薬?
イブグリースは「バイオ製剤」と呼ばれる新しいタイプのお薬です。バイオ製剤は、体の中の特定の物質にピンポイントで作用するのが特徴です。
アトピー性皮膚炎は、免疫のバランスが崩れることで、炎症やかゆみが起こります。
イブグリースは、この免疫のバランスを崩している原因の一つである「IL-13(インターロイキン13)」という物質の働きを抑えます。
IL-13は、アトピー性皮膚炎の症状(かゆみ、皮膚の赤み、ゴワゴワ、皮膚のバリア機能の低下など)を引き起こす原因と考えられています。
イブグリースは、このIL-13の作用をブロックすることでアトピー性皮膚炎の悪循環を断ち切り、症状を和らげることを目指します。
🔸イブグリースの適応について
これまでの塗り薬や飲み薬だけでは、なかなかアトピー性皮膚炎の症状が良くならない、という中等症から重症のアトピー性皮膚炎の患者さんが対象となります。12歳以上で、体重が40kg以上の方が対象となります。
🔸治療間隔・治療期間
イブグリースは、皮下注射します。
* 導入期: 初回と2回目は500mg(2本)を2週間あけて注射します。
* 維持期: 3回目以降は、1回につき250mg(1本)の注射を、2週間または4週間の間隔で行います。治療間隔は症状に合わせて決めます。
比較的長く体にとどまるため、4週間に1回の注射でも効果が期待できるのが特徴です。
* 2025年5月から、在宅での自己注射できるようになりました。
治療期間については、少なくとも1〜2年は継続する必要があります。臨床症状や血液検査でのIgE値やTARC値を参考に治療期間を考慮します。
🔸副作用について
* 注射した場所の反応: 注射したところが赤くなったり、腫れたり、かゆくなったりすることがあります。
* 目の症状: 目やまぶたが赤くなったり、腫れたり、かゆくなったり、乾燥したりすることがあります(アレルギー性結膜炎など)。
* その他: ごくまれに、重いアレルギー反応(アナフィラキシーなど)
初回の治療導入時はクリニックで注射します。注射後、院内にいていただいて体調に問題ないか確認します。
🔸イブグリースの治療費について
イブグリースは保険適応です。薬剤費は1本あたり約50,782円、3割負担の場合、自己負担額は1本あたり約15,235円となります。
* 初回・2回目(2本注射の場合): 3割負担で約30,469円
* 3回目以降(1本注射の場合): 3割負担で約15,235円
これに加えて、診察料や検査費用などがかかります。
年収により高額療養費制度を利用できる場合があります。
アトピー性皮膚炎はデュピクセントやミチーガ、イブグリースなどのバイオ製剤の登場により、症状の寛解を目指すことが可能になりました。
バイオ製剤はそれぞれに特徴があり、診察時に症状に合わせて、患者さん自身のライフスタイルも考慮し、適切なものを選びます。
アトピー性皮膚炎でお悩みの方、従来のステロイド外用薬で改善が見られない方はご相談くださいね。